3Mix-MP法 ® オフィシャルサイト
The Official Site for LSTR 3Mix-MP Therapy
Since 2004.04.01
Renewal 2025.02.25
3Mix-MP法
LSTR 3Mix-MP Therapy
正式名称は、LSTR 3Mix-MP療法である。
LSTRとは、Lesion Sterilization and Tissue Repair/Regeneration(病巣無菌化組織修復/再生)の頭文字で構成された略称である。
細菌によって引き起こされた病巣を抗菌薬によって無菌化し、病巣組織の修復・再生を促すという概念に則っている。これは医学では基本的な常識であるが、現時点で、LSTRを具現化できているのは、3Mix-MP法だけである。
3Mix-MPの「3Mix」は、3種の抗生物質・抗菌剤(メトロニダゾール、シプロフロキサシン、ミノサイクリン)の混合併用薬剤で無菌化を図る事を意味する。
3Mix-MPの「MP」は、基剤としてマクロゴール(M)とプロピレングリコール(P)を用いる事を意味する。
本療法は、単に3Mix-MPという薬剤を用いるという事ではなく、薬剤を象牙細管の隅々まで運ぶことで歯及び歯周組織の治癒を得る事ができる総合的な治療体系である。
本療法における窩洞形成、貼薬法、充填法は、病巣の無菌化とそれに続く病巣の修復・再生が効果的に発揮できるように工夫されたものであり、従来の歯科治療の常識とは異なった手法である。
〈適応症〉
・細菌が関与している口腔病変の治療
う蝕の場合は、C2〜C4が適応症となる。
・細菌を原因としない歯科疾患であっても二次的に細菌が関与している症状がある場合
〈禁忌症〉
・3Mix-MPの使用に患者さんから同意を得られなかった場合
・患者さんが使用薬剤や歯科材料に過敏な場合
・患者さんが多種多様の薬剤にアレルギーがあり、慎重を期す場合
禁忌症とは多少異なりますが、3Mix-MPを使うまでもなく治ると思われる症例では3Mix-MPを使用しません。
〈特徴〉
➊ 他の抗菌物質、抗炎症剤、鎮痛剤は使用しない
3Mix(メトロニダゾール+シプロプロキサン+ミノサイクリン)は口腔に生息する全ての細菌に有効であるため、その他の抗菌物質を使用する必要はない。無菌化によって軟組織の炎症は急速に消退するので、抗炎症剤を使用する必要もない。3Mix-MPの貼薬だけで抗炎症剤や鎮痛剤の投与と同様の効果が望める。また、抗炎症剤や鎮痛剤の同時併用により人工的に炎症の過程を抑制すると、治癒過程が長引く事が多い。
❷ 薬剤の病巣への浸透性が極めて高い
プロピレングリコールは象牙細管を通じて象牙質内への浸透性が極めて高いので、3Mixは速やかに病巣へ浸透する。そのため、3Mix-MPを病巣に直接接触される必要がない。
❸ 病巣組織を意図的に残す
病巣の細菌は象牙細管に浸透する3Mix-MPによって殺菌される。したがって、機械的にう蝕象牙質を削って細菌を除去する必要がない。“病巣組織も無菌化されれば健全歯質と同じ”と考える。意図的に残存したう蝕象牙質は、軟化していても再石灰化するので保存し、歯の構造の脆弱化を防ぎ歯髄の保護に役立つ。歯髄炎を起こしている歯髄でも、炎症が治れば歯髄組織は元に戻るので、歯髄組織を保存し、歯髄炎病巣の除去(抜髄)を避ける。
❹ 治療回数が少なくて済む
従来の歯科治療よりも治療回数が少なくて済む。患歯が1本で、歯髄炎の症状が軽度〜重度(重篤な急性症状は除く)であっても、直接法CRインレー修復が可能であれば、治療は1回で終わる。
❺ 3Mix-MP法では麻酔をしない事が基本
無痛治療のために浸潤麻酔をする事はない。治療中に痛みを与えないので麻酔の必要はない。麻酔をすると治療中に患歯の痛みに対する患者さんからの反応がないため、削りすぎたり、いじりすぎたりする恐れがあり、その過剰な処置による病巣組織への傷害が、治療後の痛みの原因となる。なお、患者さんが麻酔を望む場合は、麻酔を検討した方が良い。
❻ 治療後すぐに病巣の修復が完了するわけではない
3Mix-MPによる殺菌で治療前からあった炎症や疼痛は、病巣が無菌化されて消炎するので痛みが治まる。3Mix-MP法による治療時間や期間は短いが、真の狙いである病巣の修復にはそれなりの時間がかかる。術後の経過観察を行い、病巣が修復過程にあることの確認が重要となる。そのために、3ヶ月毎にX線写真を撮ることを推める。
❼ 治療後の冷水敏は歯髄が生きている証拠
3Mix-MP法の歯髄炎治療後、稀に患者さんが「水が沁みる」と不快を訴えることがある。
この「冷水敏」は、3Mix-MP法によって救った歯髄が生きている証拠と考える。歯髄を被う象牙質が時間経過とともに修復され、硬化して厚みを増してくるので軽減、消失する。歯冠修復されていれば冷水敏は冷水痛と違い、鋭いものではないので、しばらく冷たいものを避けるよう説明する。
❽ 治療中での事故でも対応可能
リーマー破折、歯根膜への穿孔、歯根破折などでも歯を救える。
LSTR 3Mix-MP療法について
LSTR 3Mix-MP療法(以下、3Mix-MP法)は、従来の3Mix療法(以下、3Mix法)とは明確に異なる治療法です。
星野悦郎先生は、1万回を超える実験を重ね、口腔病巣内の全ての細菌の発育を100%抑制できる3Mixを発見されました。それは、3種類の抗生物質・抗菌剤を混合したものなので「3Mix」と名づけられました。その後、所属大学において歯科保存学講座と共同で臨床応用の開発・研究を進められましたが、好結果には至りませんでした。これは、象牙細管の中に侵入した細菌を殺菌できなかった、すなわち病巣の無菌化が不十分だったため、LSTR療法を実現できなかったということです。
3Mix法で使用される抗生物質・抗菌剤の1つがMPと化学反応を起こすため、3Mix法による無菌化は困難です。また、殺菌力を優先してMPを使用しない場合、十分な薬剤運搬システム(Drug Delivery System, DDS)を確保できず、患歯の隅々まで薬剤を行き渡らせることができません。この欠点が、臨床的成果に結びつかなかった大きな要因となります。
宅重豊彦先生は、こうした限界を理解した上で試行錯誤を重ね、新たに「MP」を見出しました。このMPを導入することでDDSが構築され、象牙質のどこかに貼薬すれば、その歯1本まるごと無菌化できるようになり、治療法としての実用化に初めて成功しました。
その後、星野先生と宅重先生の共同研究により、広く臨床で用いられる3Mix-MP法が確立されました。なお、「3Mix法」の名付け親は星野先生であり、宅重先生との共同研究で生まれた治療法は、単に3MixにMPを加えたものではなく、病巣無菌化組織再生療法の概念を持った新しい歯科治療法という事で、星野先生自身が「3Mix-MP法」と命名されています。
重要な点として、現在もなお「3Mix法」と「3Mix-MP法」を同一、または類似の治療法と誤解している歯科医師や歯科関連事業者が存在しております。
当方は3Mix-MP法に関する公式サイトです。 患者さんや医療関係者の方々が誤った情報に惑わされることのないよう、正確で信頼できる内容だけをお伝えしています。
当サイトでは、3Mix法に関する情報の提供は行っておりません。したがいまして、3Mix法に関するご質問にはお答えできませんので、あらかじめご了承ください。
現在も星野先生と宅重先生は、3Mix-MP法の発展に寄与する研究を継続するとともに、後進の育成に尽力しております。3Mix-MP法の正しい理解と普及が、今後の歯科医療の進歩発展に資するものと考えているからです。