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​概要 
Overview
​Ⅰ.出会い

 これっぽっちも気にもしていなかったのに、この偶然の出会いで私の人生はすっかり変わってしまった。

手にとった一冊の本は「1987年版日本歯科保存学会誌」。その中に見つけたのは「嫌気性菌とCariology(7)」。新潟大学歯学部細菌学講座の星野悦郎教授の研究で、これが第7報目だという。多くを語らずとも、これだけでこの研究が歯科治療の概念を替える程大きいものであり、既に結果が出ている事も想像できた。さっそく「嫌気性菌とCariology」の第1報〜第6報を探した。そして歯科評論に掲載された抗菌剤の取り扱い方等の資料を集めた。う蝕などの口腔内疾患は、細菌性で、細菌叢の細菌は嫌気性菌で、好気性菌は存在しない。口腔内病巣に3種混合薬剤を投与すると病巣は、無菌化される。なんと、この薬剤の殺菌効果は100%だという。

早速、3種混合薬剤を東北大学歯学部同窓会卒後研修会のテーマとし1990年、1991年と2年連続の研修会を開催することにした。開催にあたり、3種混合薬剤の臨床経験を持っておく必要があると考え、安藤正明先生、中原寛子先生を含む3名が先行して3Mix法に取り組み、1年半後に臨床応用の可能性を発表することとした。卒後研修会は期待以上の内容で、これまで説明できなかった口腔内の疑問がすっかり払拭された感があった。

​Ⅱ.3種混合薬剤を識る。

 3種混合薬剤とは、ネトロニダゾール、ミノマイシン、シプロキサンの3種類の抗生物質・抗菌剤の合剤を云い、3Mixと称していた。

私達も薬を調達し、それぞれが臨床応用を始めた。何処にどんな状態で貼薬すればいいのか、の答え探しの旅路であった。驚愕の結果に一喜一憂した。

この 1年半で現在の3Mix-MP法の基盤が固まったように思う。当初よりMPを使用していたし、Save療法の概念に沿った術式であった。その後の治療は、成功率の証明問題だけで、再植再建術が後に加えられたくらいで、基本的な術式に大きな修正はなかったように思う。

​Ⅲ.3Mix-MP法の急成長

 1997年初夏、私は7年間の臨床症例を持って新潟大学の星野先生を訪問した。

星野悦郎先生と歯科保存学教室の医局員に自分の3Mix-MP法治療症例を見てもらいに「本山の門をたたいた」わけです。挨拶もそこそこに、打ち合わせに入ったところで衝撃の言葉が待っていた。なんと『……という事で3Mixは終わったんです。』だって。衝撃の言葉は、まだありました。『3Mixの発見でこんなこともあんなこともできる、と夢を語り合った。その夢を先生は既に実現している。 』、更に『歯科治療が大きく変わる。一緒に研究をやろう。』予想もしない高い評価を得て、私の治療法は、3Mix-MP法と名付けられ、本山のお墨付きを得たのです。

 早速、3Mix-MP法の普及活動が始まった。同年に歯科評論(現在のヒョーロンパブリッシャーズ)に50ページの特集(より大きな効果を引き出す3Mixの臨床応用)を発表した。1998年にセミナーに参加した歯科医を集めCDRG.友の会(3Mix-MP法の勉強会)を結成。1999年第1回実習セミナーを仙台にて開催、1998年第1回都道府県別講演会を岩手でおこなった。そして2002年11月23日東京にて第1回LSTR療法研究会(後のLSTR療法学会)が会場に溢れる程の会員が集り開催され、現在に至る。今年で24回目となる。

数多くの著作物があり、単行本では、専門書3冊(「3Mix-MP法とLSTR療法」、「月刊 宅重豊彦」、「LSTR 3Mix-MP療法」)。一般市民向け1冊(「むし歯は薬で治る」)を書いた。歯科雑誌に3Mix-MP法の特集は4回掲載された。

​Ⅳ.3Mix-MP法を取り上げたマスコミ

 3Mix-MP法は、「注射をしない、痛くない、1回で終わる」なので、マスコミにも取り上げられた。全国紙の新聞・雑誌・週刊誌、TV、インターネットの多数で紹介されたので、一夜にして全国に知れ渡った。

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Ⅴ.包括的歯科治療法に発展・進化した3Mix-MP法

 2021年に“LSTR3Mix-MP療法”を出版し、この中で本法は、既存の歯科治療とは全く異質の治療法であることを宣言している。すなわち3Mix-MP法は、LSTR療法(病巣無菌化組織再生療法)の概念の治療法であって、既存の歯科治療は、患部を物理的に除去し生じた空間を人工物で埋めるやり方をするので組織は破壊され、組織修復も無菌化も無理である。また、組織再生には時間がかかり、扱う病巣は硬組織が多いので、治癒状況は、X線写真で長期の観察が必要となる。これでは最終物(歯冠修復物)を施術する時期が遅すぎてトラブルになりかねない。早い時期に予後を予測できるX線写真術が必要。3Mix-MP法には要求に応えるX線写真解析法がある。口腔内組織を破壊する因子には、細菌の他に外傷がある。歯は、咀嚼器官なので、歯に力が加わわって歯質が壊れたり、歯槽骨が吸収されて歯周病が進行すること等が考えられる。従って、噛み合わせの具合は常にチェクされ咬合はコントロールされていなければならない。3Mix-MP法には、反射誘導法という咬合のコントロール術式がある。

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