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抗菌薬・基剤

Antibiotics /  Base

3Mix-MP法で使用する抗菌薬と基剤です。
3Mixは各薬剤の被覆材やカプセルを取り除き、粉末化します。粉末のままでは病巣に貼薬しにくく貼薬量も把握しにくいため、基剤(MP)と練和して使用します。
3MixをMPに混合する事により、両薬剤のトランスポーターの役割で3Mixは象牙細管の中にまで浸透します。
​使用薬剤、基剤の混合比は決まっています。
薬剤の変質を防ぐため、専用保管容器による保管が必要です。
3種併用薬剤(3Mix)

①メトロニダゾール Metronidazole

1971年に岐阜大学の上野一恵教授等が嫌気性菌に有効なことを発表した。

10㎍/mLの濃度で、う蝕象牙質中の細菌99%の分裂増殖を抑制する。

〈作用機序〉

​微生物によって還元されたニトロ基が微生物のDNAの二重鎖切断等の障害を起こし、細菌の分裂増殖を抑制する。

〈留意事項〉

ニトロ基が事前に還元されれば薬効が喪失するため、金属イオンや光の還元作用は

​メトロニダゾールを変質させる。

医療品名 フラジール内服錠250mg

製造会社 塩野義製薬株式会社

②シプロフロキサシン Ciprofloxacin

​メトロニダゾールが効きにくいPeptostreptococcus属や腸球菌属に有効である。〈作用機序〉

細菌のDNAジャイレースに作用し、DNA合成を阻害する。

〈留意事項〉

​シプロフロキサシンは白色だが、光によって変質し茶色になる。

Ciprofloxacin.png

医療品名 シプロキサン錠200mg

​製造会社 バイエル薬品株式会社

③ミノサイクリン Minocycline

腸球菌属、炭疽菌、多剤性ブドウ球菌に有効である。

〈作用機序〉

aminoacyl t-RNAがm-RNA・リボソーム複合体と結合するのを妨げる事で、蛋白質合成を阻害する。

〈留意事項〉

​ミノサイクリンは黄色の結晶粉末で、カルシウムに付着するので歯質が黄色に変色する。但し、水が介在しなければ変色は目立たないので、漏洩に注意すれば問題はない。

Minocycline.png

医療品名 ミノマイシンカプセル100mg

製造会社 ファイザー株式会社

基剤(MP)
​マクロゴール(M)をプロピレングリコール(P)で溶いた2種類の基剤。
頭文字からMPと称した。
操作性の向上と薬剤運搬作用(Drug delivery system)を付与すべく調製するので混合比率は決まっている。

①マクロゴール軟膏 Macrogol  ointment

皮膚科や化粧品などで使用されている水溶性軟膏基剤。​非イオン系合成界面活性剤なので、生分解性が良く、他の合成界面活性剤より安全である。

〈特徴〉

薬剤の溶解性に優れる一方で、薬剤と化学反応することなく、化学的に不活性で加水分解や酸敗を受けない。大きな吸湿性を有しており、病巣の水性分泌物を吸着除去する。

〈留意事項〉

湿度100%の口腔内で水分に弱い3Mixを使用する際に、除湿剤として機能していると思われるが、湿気を避けて密封して保存する管理が必要である。

環境ホルモンや発ガン性は無いが、アレルギーを起こす可能性がある。何らかのアレルギー疾患を有する患者さんには、テストしてから使用する慎重さが必要である。

医療品名 ソルベース

​製造会社 株式会社陽進堂

プロピレングリコール Propylene glycol

​他物質の浸透を助けるトランスポーターの役目を果たすので、即効性を求める外用医薬品や化粧水、乳液等に用いられている。

〈特徴〉

​界面活性剤、強い吸湿性、弱い抗菌作用、アルコールと同程度のカビの成長・発酵抑制作用がある。3Mix-MP法にとっては、薬剤運搬作用(Drug delivery system)の強化、除湿の強化、抗真菌作用を得る。プロピレングリコールが3Mixの無効な真菌に有効であることから、3Mix-MP法では完璧な無菌化の実現が理論的に可能になった。

〈留意事項〉

毒性が非常に低く、人体にほとんど無害であり、環境ホルモンや発ガン性は問題ない。大量に用いた場合は、細胞・組織傷害作用が報告されているが、3Mix-MP法で用いる量は微量である。水との接触を避ける等の留意が必要である。

血中からの半減期は4時間であるが、稀にプロピレングリコール自体に過敏症症状を起こす人がいる。(3Mix-MP法の術式に従えば、血中に入る事はない。) 

医療品名 プロピレングリコール500mL

製造会社 丸石製薬株式会社 等

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