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​歯科医師用 よくあるご質問 FAQ for dentists

①生体反応
Q. 抗生物質であるために、生体反応に問題はないのでしょうか?
A. 
アレルギー、耐性菌が気になるという意味では、総論的には、日常臨床の中で抗生物質を内服処方する場合と同じに考えて対応するべきです。各論的には、貼薬された3Mix-MPは血中に入る可能性は低いので、アレルギー反応は内服した場合より起こりにくい。また、用いる薬剤の量は、内服1日分の1/100以下で1〜2回の貼薬で無菌化を達成できる事から、耐性菌の誕生があり得ないと考えています。
②薬剤の管理
Q. 3種類の薬剤を前もって混ぜておいてはいけませんか?
A. 3種類の薬剤は、元を辿れば微生物の代謝産物ですので、微生物の体内においても短時間で

次の物質に変化してしまいます。抗生物質・抗菌剤の製薬では、この反応を如何に抑えるかがポイントと聞いています。薬剤が化学反応を起こして別な物質に変わってしまえば、当然薬効はなくなります。反応を起こしやすい薬剤を混ぜると、一層、化学反応を起こしやすくなり、早期に薬効も失われます。したがって、前もって3種類の薬剤を混ぜた3Mixは、使用時には薬効を失っている可能性があります。

Q. 適応症例がそう多くないので、混合薬剤を作り置きしたいのですが、可能でしょうか?
A. 
印象材やセメント等の歯科材料の多くは、チェアーサイドで混合して使用します。だからといって前もってセメントを練っておくという人はいません。前もって混合すると化学反応を起こし、固まってしまうので使用できません。混合薬剤も前もって混ぜて作り置きすると化学反応を起こし薬でなくなってしまうのです。
Q. 3Mix-MPの状態と、3Mixの粉末の場合、有効期限に違いはありますか?
A. 
有効期限は、3Mix-MPの方が短いと考えられますが、その差は僅かと思って下さい。薬剤は単体でも変質し、他の薬剤と混ざると化学反応を起こして一層、変質しやすくなり、更に媒体があると化学反応は一層進み、薬剤は変質します。つまり、MPという媒体があるので変質しやすいと考えられますが、その差は気にする程度のものではありません。
③3Mix-MP法
Q. 3Mix-MP法は簡便で省力的な治療法ですね?
A. 
軟化象牙質を取り残す、感染歯髄でも抜髄しない、1回のチェアータイムで治るという点で簡便で省力的な治療法と言う人はいます。では、なぜ簡便で省力的な3Mix-MP法をやらないのでしょう?
3Mix-MP法の術式は、厳密で正確無比でなければならず、歯科医としての技術力が未熟な人は試行しても好結果を得られません。例えば、厳密な密封充填の知識・技術がなければ、せっかく無菌化した病巣に充填物の辺縁から細菌が再侵入してしまい、治療は失敗します。
Q. 3Mix-MP法はミニマルインターベンション(MI)ですね?
A. 
MIは、う蝕象牙質を除去するが健全象牙質を最小限しか削らないという治療方法で、細菌が歯髄に侵入している場合、歯髄を保存するのは難しい。一方、3Mix-MP法のう蝕治療法では、軟化象牙質も、う蝕象牙質も除去せず再石灰化に導く。したがって、感染歯髄でも抜髄する事はない。3Mix-MP法はLSTR療法です。MIではない。
④治療後
Q. 3Mixが効かないようですが、理由は何でしょうか?
A. 
使用薬剤は3Mixと3Mix-MPのどちらですか?
3Mixならば無菌化できないので、十分な好結果を得られない場合があります。3Mix-MPの場合は、実習セミナー、オンラインセミナー基礎Ⅰコースの好結果を得るための必要十分条件を参照し、自分の治療を検証して下さい。セミナーの受講歴がない場合は、セミナーを受講して下さい。
Q. 3Mix-MP法による処置後、痛みが出たのですが?
A. 
痛みが出た症例は、根尖性歯周炎、歯髄炎、その他のどれですか?
病名が分かれば、ある程度の予想はつきますので、ご一報ください。もう一つ、基本的な事として重要な事があります。例えば、根尖性歯周炎の治療においては、3Mix-MP法ではリーマーの使用を禁じています。歯髄炎の治療では浸潤麻酔による抜髄を禁じています。このように、従来の治療法と3Mix-MP法では大きな違いがあるので、従来の治療術式で治療して消毒薬として3Mix-MPを使うという、ごちゃ混ぜの治療法では好結果は得られません。
⑤術式
Q. 3Mix-MPを貼薬する際に、窩洞壁にくっついてその後の充填がしにくいのですが?
A. 
NIETキャリアⅡを使って貼薬して下さい。その際、貼薬部位に垂直な方向から薬を押し出さないで下さい。NIETキャリアⅡを使う事によって、適切な位置に適切な量を1プッシュで貼薬できます。
Q. セメントと混合すると化学反応が起こりませんか?
A. 
現在、使用して良いセメントは、Fuji Ⅸ GP EXTRAだけです。セメントと接している表面・表層では化学反応が起こっている可能性がありますが、薬は無菌化に十分な量が貼薬されているので、セメントによる変質を心配する必要はありません。但し、Fuji Ⅸ GP EXTRAが軟らか過ぎると、薬が混じってしまうのでご注意ください。なお、CAVITONは綿球が介在し、薬と直接接していませんので影響ありません。
Q. 光重合レジンの使用は絶対に避けなければならないのでしょうか?
A. 
重合のための光照射で3Mixが変質する事は十分考えられます。治療を行っている期間あるいは予後観察中には口腔内環境を含め、3Mixの薬力価を減じる要因がたくさんありますので、阻止できる薬剤変質条件は可能な限り排除し、高い薬効を保って使用する方が良いと考えてください。
Q. 3Mixへのアルカリの影響はありますか?
A. 
化学的に強アルカリでなければ安定であるとされています。しかし、3Mixに使用している塩酸シプロフロキサシン製剤が含まれているので、溶解性等に影響があるかもしれません。アルカリの影響を懸念しているのは、水酸化カルシウム製剤の使用が念頭にあるのでしょうか?3Mix-MP法による無菌化は完璧なので、これ以上何らかの薬剤を混合する必要性はありません。特に水酸化カルシウムを混入する事に何の有効性も見いだせませんし、むしろ病巣組織の変性等の障害を懸念します。
⑥歯冠歯髄Save療法(Save Pulp)
Q. 軟化象牙質の上に置く3Mix-MPの量はどの程度が適量なのでしょうか?
A. 
標準稠度の3Mix-MPで、直径1mm程度の球1個を基本量とします。これを軟化象牙質の上に置いたら綿球で軽く圧接します。上記基本量は、ニエットキャリアⅡ(標準)を使った場合、1回の貼薬操作で運ばれる量です。
Q. 水酸化カルシウム製剤もしくはアパタイト系製剤を使用した方がよいのでしょうか?
A. 直接覆髄でも間接覆髄でも、水酸化カルシウム製剤やアパタイト製剤は使わない方が良いです。
Qエナメル-象牙質境のう蝕部分を残さない。という点に関してもう少し説明してください。接着のために健全象牙質を露出させるという事なのでしょうか?その部分を削る時に痛みを感じる事があると考えるのですが。
A. 術式の進歩に伴い、今はエナメル-象牙質境のう蝕部分は残します。接着に利用する歯質はエナメル質ですので、エナメルデンティン境にう蝕象牙質が残っていても、接着による封鎖は裏層セメントのレベルで確保しています。
Q軟化象牙質を残す覆髄処置において、3Mix-MPにより歯質とセメントとの接着が阻害される事はないでしょうか?
A. MPは界面活性作用を有していますので分離剤となり得ます。従って、Fuji Ⅸ GP EXTRAが築盛されるべき領域は、窩底の残置した軟化象牙質を完全に覆い、更に強固な接着のために窩洞の辺縁に幅1.5mmの健全エナメル質が露出していなければなりません。3Mix-MPの貼薬は軟化象牙質上だけであって、Fuji Ⅸ GP EXTRAの接着のためのエナメル質部分にまではみ出してこの部に接触し、覆ってしまうと密封性が落ちてしまいます。この点は特に留意が必要です。
⑦直接法CRインレー修復
Q
直接法CRインレー修復による1回法に自信が持てないのですが。やはり、1〜3ヶ月後に開けてみて確認しないとう蝕の進行が分からない。X線写真でも不明。
A. 従来法のう蝕治療をやった時、1〜3ヶ月後に開けてみるのですか? 3Mix-MP法では、う蝕象牙質を残すので予後が気になるという事ですか? 3Mix-MP法では、う蝕象牙質を残しますが、3Mix-MPを貼薬するので無菌化され、細菌はいません。一方、従来法は、着色象牙質まで除去するので安心しているようですが、象牙細管の中には細菌が入り込んでいるので、う蝕を作るのは止まりません。無菌化した歯と細菌のいる歯ではどちらがやがて歯髄症状が出るかの判断は容易です。実験によると、レジン充填では術後1週間で充填物の窩底から細菌を検出。直接法CRインレー修復では、術後2年過ぎた試料でも窩底から細菌は検出されません。
⑧歯根歯髄Save療法(NIET)
Q
数回3Mix-MPを貼薬しても、打診痛など症状が取れないケースにたまに遭遇します。大体2〜3度の3Mix-MPの貼薬で一旦根管充填して事なきを得ていますが、1ケースのみ、それでも再度症状が発現して今、再根治をしている患者さんがいて困っています。患歯は右上5番で、これまでの経過を簡単に述べます。
昨年2月 抜髄、その際、リーマーを#45まで開けて通法に従い根管充填。
昨年9月 咬合痛を訴え来院。残髄があったため、初回にペリオドン、次回から3Mix-MPを3回貼薬の後、#55まで拡大、根管充填。その後全部鋳造冠を装着。
今年1月 再び、噛めないとの訴えにより、来院。現在治療中です。

A. 歯種が第二小臼歯ですが、2根管か1根管かを確認してください。全ての根管を発見できている前提で回答します。感染根管治療はキチンと無菌化し、余計な刺激を与えなければほとんどの症例は治ります。キチンと無菌化できない場合として、仮封の漏洩、歯根破折、穿孔、出血、浸出液などがある場合です。これらのチェックをしてください。チェック項目に問題がない場合、外傷性歯根膜炎、アレルギー性歯根膜炎を疑い、相応のチェックをしてください。以上のチェックで問題が発見されない場合、治療は、根尖に死腔を作る「スペース根管充填」をします。根管充填前の処置として、ペリオドンを1回、3Mix-MPを1回、ケナログを1回貼薬してください。根管充填後は、テンポラリークラウンを装着し、両隣接歯と接着固定してください。はじめは対合歯とぶつからないようにし、症状をみながら接触させます。患者さんには、リハビリテーションの必要性を認識させ、根尖のスペースが自然に石灰化して消失すれば不快症状は消える事を伝える必要があります。勿論、患者さん自身が気にして、しょっちゅう歯を叩いたり舌で押し出したりして刺激するのは厳禁です。
Q根管に3Mix-MPを貼薬しましたが、貼薬した綿栓が変色してしまったため再度貼薬しました。3Mix-MPの貼薬は今後何度も継続する必要があるのでしょうか?また、治療を打ち切っても良い状態をどのように見極めれば良いでしょうか?
A. 3Mix-MPをブローチ綿花で貼薬し、3日以上経過して取り出した時、綿栓の色、臭いが正常(色は黄色、臭い無し)であれば、軽い打診痛があっても根管充填を行っていいと考えています。
Q残髄がある場合、1日目でペリオドンを貼薬、次回3Mix-MPを貼薬していますが、貼薬後に時々強い痛みが発現する事があります。なぜでしょうか?
A. ペリオドンを貼薬したら、15〜30秒後に除去します。そして直ちに3Mix-MPを貼薬します。長期間のペリオドンの作用により、歯髄や歯根膜細胞が傷害を受けたからでしょう。
Qこれまでの長い習慣で、根管形成後に根管内に残った削り屑を、次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水で交互洗浄をして取り除かないと、何となくスッキリしません。3Mix-MP法では水を使った洗浄をしないとの事ですが、削り屑はどうするのでしょうか?
A. 削り屑が核となって石灰化が早まります。
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